キーンコーンカーンコーン・・・

「今日の授業終ったぁぁ!!」
「千晴はいつも元気だね(笑)」
「恋する乙女はいつも元気でしょ!」
隣で騒いでいるのは、泉 千晴。
津田先輩に片思いなんだって。
「由美は恋したことないんだっけ?」
「そんなの興味ないよ」
「じゃあこれ貸してあげる!」
そう言って、一冊の本を出した。
「携帯小説?」
「これ読んで恋の勉強でもしなさい!」
「面白いの?」
「もっちろん!絶対読んでね!」
「はいはい」
「今日もサッカー部の練習見てくるね!」
「いってらっしゃぁい」
千晴を見送ってから私は屋上へと向かう。

ガチャ
誰もいない!ラッキー!
ここは、私の特等席。
入学当時からお世話になっている。
ここは、めったに人がこないから、最高の場所。
あっ!そーだ。
千晴から借りた本を出してページをめくった。

「・・・・はぁ!?」
高1でキス!?sex!?
ありえない!!
パタン・・
私は読みかけの本を閉じた。
「恋ってなんなの!?」
「教えてやろうか?」
「教えられるもんなら教えてよ!!・・・って・・ぇ??」
ストンッ
「決定な」
そう言って、一人の男が上から降りてきた。
「え!?ちょっ!!」
「ここさぁ、俺の特等席なんだよねぇ・・・」
「今まで私しかいなかったよ!!」
「あそこ」
そう言って、男は指を指した。
私を上から見下ろせるぐらいのところ。
「ぜんぜん気づかなかった・・・」
「とにかくさぁ、教えてほしいんだろ?」
「何・・・を?」
「レンアイ」
「け・・・結構です!!」
「ふぅ~ん・・・」
「それよりあなたは誰ですか!?」
「ぇ・・・?」
男は目を一瞬見開いてフっと笑った。
「おれを知らないなんて想定外・・・」
「はぃ!?」
「お前、名前は?」
「えっと、森崎 由美ですけど・・・」
「由美かぁ・・・」
「な・・・なんですか!?」
すると、男はニヤリと笑って私の耳もとでささやいた。
「たっぷり教えてやるよ。俺という男を・・・」
「きゃっ・・・」
そのせいで、耳に息がかかる。
「じゃあな。由美」
そう言って、去っていった。