「好きなの。愛してるの。
だから行かないで…そばにいて…?」
あたしはもう決別したのだ。
過去の自分と。
「あたしが手に入れたいのは
ふたつの未来と
ふたりの運命の人
なんかじゃないの…。
啓がいなくても、
あたしが笑っていられるのは
あなたのおかげ。
先輩がいるから、
あたしがいるの。
どんなに辛いときだって
あなたは何も言わずに
何も聞かずに……
優しくあたしを抱き締めてくれた。
温もりをくれた。
それが今のあたしにとってすべてなの。
だから…お願い…」
先輩にあたしの言葉は
どう響くのだろうか?
もしかしたら
ただうっとうしくて
耳障りな雑音なのかもしれない。
「んだよ、それ…ふざけんな」
先輩は感情のこもった声であたしに言った。
「え……?」
小さくつぶやかれたその声に
あたしはうまく反応できない。

