【完】甘い恋よりもそばにいて





彼はあたしの左手を握った。


「今の俺たちの正しい距離は
正直わかんない…。


ただの他人なのか
元、恋人なのか…


それとも
何か違う、
他の特別な関係なのか…。



今、思ってることを
口にするのは

許されないこと…
充分、わかってるつもりなのに…」


そんなの知らない。
わかんないよ。



もし誰かに
あたしたちの近づいていい
許容範囲の距離を


決められるのだとしたら


もっと楽に
生きれる気がするの


近付き過ぎない、
お互いが触れ合い過ぎない、
そんな距離。



彼に握られた左手が
まるで呪縛のように感じる。





「ぁーあ、
んで、こんなに苦しいかなぁー」


ハハッと力ない声が
空虚感に呑まれる。





彼はあたしの両頬に


優しく包み込むように
両手のひらをのせた。