「なによ、なんなのよバカ」
「いくらでも言えば…?」
呆れ口調啓は無表情に答える。
しばらくあたしたちは黙り込んで
沈黙を静かにあたしは破った。
「ねぇー啓、由奈さんのこと好きなの?」
「何その質問?
バカにしてるわけ…?
俺は嫌いなやつなんかと
婚約なんてしない」
案外、さらりと出てきた
欲しかった言葉。
もう、何にも期待しちゃいけない。
啓は由奈さんが好き
好き…好き…
何度も言い聞かせて
自分を落ち着かせる
大丈夫、吹っ切れる。
ドクドクドク…
心臓は高鳴る。
大丈夫…あたしには
先輩がい……
ふわりと漂う啓の香りで
一瞬、ドキッとする。
ギュ………
あたしは啓に抱きしめられた。
やめて、やめて、やめて。
「何すんのよ、バカ」
押し返そうと
啓の胸の前に手を置くけど
力が入らない。
あぁ…あたしってバカだ。

