一度、
同じ女を好きになった者どうし
仲良くさせてもらおうじゃん。
同じベンチに腰掛ける
俺と沖田啓。
会話なんてものは存在しない
俺の隣の奴はただ
石の彫刻みたいに
無表情で1ミリも動きやしない。
なんて
面白味の欠けるやつなんだろうか。
「あのさ俺、
沖田くんのこと啓って呼んでいい?
由奈と結婚するなら
これからいろいろ交流あるだろうし長い付き合いになるだろうからさ。
俺のことも歩でいいから」
逆に
怪しまれるんじゃないかってくらい
ヘラヘラしていった。
「あっどうぞ、別に大丈夫ですよ」
きもいくらい笑ってる俺を
気に留めることもなく
アイツは不愛想にそう言った。
……。
「啓はなんで今日嘘ついたわけ?」
啓は今まで
俺と視線を合わせようともしなかったのに
そういった途端、
チラッと俺の方を向いて
さらっと吐き捨てる。
「一体なんのこと言ってんですか?」

