「あーあっちぃ~!」
ギラギラと激しく
照りつける日差しに対抗するように
手を団扇のようにして
大きく煽るが
たいてい予想がつくように、
ほとんど冷感への成果はない。
さっきどこかで
買った紙コップ入りの
ソフトドリンクを多少口に含んでも
喉の渇きは潤わない。
暑さと周りの熱気に
頭がイカれそうで
ひとりごとをぽつりと
つぶやく。
「ったくあのバカ。だから乗るなっつったのに…」
いきなり気分悪いとか言い出すし、
おまけに俺と
お前の大事な沖田啓を置き去りにして
由奈連れて
トイレにこもるし…。
まったく相変わらず
何も分かってねえよ莉華は。

