先輩もあたしの怒りを落ち着けるつもりはなかったらしく
彼が口を開くこともなかった。
そして車はある場所に停止した。
「どうしてここに…」
そこでやっと口を開いたあたし。
「どうしてって。必要なもんあんだろ?」
そう平然と答える先輩。
確かに…言いましたケドですね
たどり着いた先は、モトシロショッピングモール。
脳裏にいや~な記憶をチラつかせながら
あたしは必死に目の前のことを整理しようとしていた。
「つまり……?」
「買い物ついでにデートでもしようかと、
さっきはだいぶご機嫌を損ねちゃったみたいだし。
挽回させてよお姫様」
買い物ついでにって、
必要なものぜーんぶ買い揃える気ですか?
デートってそれなら言ってくれれば…
ってあたし、10分で支度したから
ほぼすっぴん。
「先輩あたしすっぴんだよ?!」
「案外そんなの誰も気にしてねーだろ?
つーか莉華の場合はすっぴんの方が俺好みだよ」
甘い耳打ちはあたしの頬を真っ赤に染めた。

