【完】甘い恋よりもそばにいて


もう意味がわからない。

あたし車なんて運転出来ないから詳しい道なんて分からないけど、


今走ってる道が

あたしの家に向かってないことくらい


分かる。



なにがしたいのよ、先輩。



「先輩、あたしをどこに連れて行くつもりですか?」


視線を外に向けてボソッと呟く。


「どこって莉華の家」


その言葉を聞いた途端、

信じられなくなって先輩の方を向き直した。


どこまでしらを切るつもりなの?


「あたしの家になんて向かってないくせに!嘘はやめて」


強く言うつもりはなかったけれど、

つい鋭い口調になっつてしまった。




「気づいてたんだ。んなカリカリすんなよ。眉間にシワよってんぞ」


先輩はあたしが不機嫌なことなど気にも留めず、


なだめるように言った。


そんな無神経な発言にあたしの苛立ち度は上昇。


「はぁ。いいですよ、別に。
言いたくないなら言わなくたって。
ご自由に。思う存分、あたしのこと振り回してください。もう知りませんから」


それから車が目的地に到着するまで

一言も先輩と話すことはなかった。