【完】甘い恋よりもそばにいて




「しましょうか?目覚めのキス」


やられてばかりじゃ癪(しゃく)だった。


言いように丸め込まれたくなかった、

先輩の頬を一度くらい
あたしがりんごのように真っ赤に染めたい

そう思った




のに…。



「ふーん。ずいぶん、大口叩くようになったね」


楽しんでる口調。


勝てるんだろうか、この男に。
一度でいいからこの余裕の笑みを

崩したい、壊したい。


「じゃあ俺、眠りの王子になるからさ。
起こしてよキスでさ。
あ、言っとくけどそれなりのキスじゃねーと俺起きねぇから…」


そう言い残し、先輩はまたすぐ眠りにつく。


なんて扱いづらい王子様なんだ。


あたしは頭を抱えてしまう。


なによ、それなりのキスって意味わかんない。


ていうか眠ってる設定なのに、
あたしのことにしっかり抱きしめてるじゃん。