先輩の服の襟元を引き寄せて
かなり強引に顔を近づける。
先輩は目を見はり、疑うような視線をこちらに向けて
あざ笑うように言う。
「はったりだろ?お前、ほんとはんなこと思ってねぇだろ…」
あたしは返答にためらい、顔を歪める。
「ほらな…」
と先輩は哀しい瞳でトゲトゲしく言うけれど
あたしはただ迷ってるんだ。
たった、ひとこと…
それを口にするかどうかを
決めかねているんだ。
だって
それであたしたちの状況と関係は一変する。
先輩は、あたしの大事な先輩は
“親友”ではなくなってしまう。
だから
軽々しくペラペラと告げれるような事実でもない…
それに
あたしの理不尽な要求で先輩を、振り回すのもなんだかいい気はしないんだ。
あたしは優先してしまうんだ。
自分の欲しいモノを…。
甘い蜜の香りを漂わせる衝動に駆り立てられ、後押しされる欲望は止まらない。

