バケモノのあたしは 心より先に、本能的に体が動いて先輩のもとへ駆け出す。 「待って!」 とっさに呼び止めた。 先輩は驚いたように顔をこちらに向ける。 気付いた気持ちには もう急ブレーキなんか、かからない。 大体、おちおち冷静で落ち着ついてられるような状況でもない。 先輩の胸に飛び込むように抱きついて 先輩の背中を壁にくっつける。 顔をうずめた途端、 先輩の香水の香りがふわりと鼻をくすぐった。 そして先輩を食い入るように見つめる。 何を言うかは決まってた。