冷たい言葉は淡々と粉雪のようにパラパラと降ってくる。
「莉華、携帯かして。」
まるで急かされているような口調でそう促された。
だからすぐにポケットに手を突っ込んで携帯を渡した。
何も言わずに。
するとかわりに先輩は
自分の携帯をあたしに手渡した。
「お前はお前のアドレスを消す。
俺は俺のアドレスを消す」
切なげに微笑む先輩。
沈黙の中、
あたしは先輩の携帯のあたしのアドレスをけした。
「今日は空いてる部屋、適当に使っていいけど…
明日、俺が目覚める前には消えてろよ」
冷たく微笑む先輩。
「もう、俺のことなんて忘れろよ」
吐き捨てたような捨て台詞は
とどめの一発だった。
驚くほど呆気ない、
先輩の一言で簡単に崩れてしまうのだろうか。
こんなにも、もろく儚い関係を
あたしは今まで大事にしてきたのだろうか。

