【完】甘い恋よりもそばにいて


彼女はあたしの手を握って
「ありがとうございます」そう何度も唱えた。



「お礼なんかより約束いいんですか?」



にっこり笑って言うと
彼女は思い出したように話しはじめた。




「待ち合わせ場所はたぶん、近くのショッピングモールなんですけど。
私ひとりで出歩かないのでもう挫折しまくりで…。あっ名前、教えていただけませんか?」



そういえばお互いの自己紹介さえもまだだった。


「あたしは清水莉華って言います、歳は19です。
あのあなたの名前も教えて下さい、歳は同じくらい…ですか?」




「私は秋本由奈。同い年だけど、莉華さんって私と違って大人っぽいので全然同い年に見えませんね…」




「そんなことない‼由奈さんは可愛いじゃないですか。ふわふわしてて…。あたしとまるで正反対」



「いえ、全然そんなこと…」と言って由奈さんは自分を謙遜した。



同い年ということがわかってかあたしたちは少しずつ打ち解けた。



こんなに可愛いコと話をするのはさすがにまだちょっと上がっちゃうけど。



はじめの頃よりだいぶマシになった。







「近くのショッピングモールっていうと、モトシロショッピングモールなんですけど…」



「それです、そこ‼」



「そこまでだったらここから20分ぐらいかな…」