「実は私…」 彼女がそう口を開いたときには声も穏やかになっていた。 その様子にあたしは安堵の息を漏らす。 「今からすごく、すごく大切な人と会う約束をしてて。 本当に大事な約束なんですけど、 道に迷ってしまいまして……」 顔を赤らめて恥ずかしそうにする。 あたしは思わず拍子抜け。 道に迷ったって…。 どんな分かりずらい場所で待ち合わせしてるんですか…?