【完】甘い恋よりもそばにいて


「うん、そう。あたしは啓が好き、大好きだよ。でも大好きだったらどうだっていうの?付き合うの?手を繋ぐ?抱き合う?それともキスをするの?違うの。違うんだよ。あたしは別に愛されることなんか求めてないんだよ、波羅。」




スモークのかかった窓越しに外を眺めてあたしを見ようともしない莉華。



唯一彼女の感情があらわれる声は絶望に満ちたように低く、小さくて涙をこらえるように震えていた。



そんな彼女は続ける…。



「愛してるなんて言葉はいらないよ。もしそんな言葉を貰ったら現実の世界か夢の世界か見当がつかないくらい浮かれて喜ぶと思うよ。でもね最近、啓を見てるだけで幸せなんだって気づいたの。そばに近くにいられるだけで笑顔でいられるの。今日金城さんの話聞いてあたし分かったの。あたしの愛が最終的に啓を困らせてしまうなら…そう考えると、関わらないなんてこと案外簡単なのかもなって思う自分がいたし、実際ね、啓から愛されることを恐れてる自分がいるんだよ。
……ごめん意味わかんなくて。」