「話、終わりましたか?先輩…」
口ごもりながら先輩に問う。
すると彼は、あぁとそっけなく返事を返してきた。
先輩の話の内容はこのようなものだった。
彼の知る、沖田啓は財閥御曹司、
そしてもうすぐ結婚するのだそうだ。
そして彼はまだ記憶に新しい女の名前を持ち出した。
秋本由奈、彼女も家柄が良く、啓の婚約者だとあたしに言ってきた。
その話をされる間、ただあたしは黙り込み
理解しようと思考回路を全速力で回転させていたのだった。
「なんで啓のこと知ってるんですか…?」
さっき聞くことのできなかった質問を唐突にもちだしたあたし。
「自分で言ったんだよ…」
と呆れたように、そして少し悲しそうな表情で。
またあたしの分からないどこか遠くをぼんやりと眺めながら応えてくれた。

