【完】甘い恋よりもそばにいて


啓は何段か階段を降りて、


あたしのすぐ隣に来て手を差しのべた。


それは手を握れって意味なわけ……?


だとしたら無理だって無理。


あたしは隣にいる啓をチラッと横目で見て黙り込んだ。


こんな近くにいたんじゃ心臓と相談しようがない。


そんなときでさえ啓は「ほら…」の一言であたしを急かす。


鼓動のスピードが増していくのを感じる。


「はぁ……分かった…分かったわよ!!」


ちょっとキレ気味な返答。


あたしはこんなことに慣れてない。


手を握るか、握らないか。


多分他の人には小さな選択。あたしにとっては究極の選択。





そっと啓の手のひらに自分の平を重ねる。


ギュッ。あたしの手をしっかり握ったのは啓だった。


「日頃の運動不足がたたったんじゃね?」


フッて鼻で笑われた。ウザッ!!


こんな奴に恋してる自分が腹立たしくてしょうがない。