【完】甘い恋よりもそばにいて


「もちろん。あの部屋は沖田啓様専用ですので…」


すごい爽やかな笑顔でそう言った黒田さん。


でもなんかフルネームで言うって変よ。


「いつも思うけどさ、口上手いよね。黒田さんって……」


「仕事柄です。それに当ホテルを頻繁に利用してくださいますし、いつも沖田様が宿泊される部屋は決まっているので。
ある噂を耳にしたのですが、お隣の方がそのお相手の秋本財閥のご令嬢、由奈様ですか?」


「え……あ、あたしですか?」


自分で自分のこと指さして…なんかバカみたい。


アキモトザイバツ……


胸に引っかかった言葉。


「勘違い……してるから。コイツは俺の友達、ちょっと同窓会で会って懐かしくなったんだ。普通に酒飲むのもナンだし。ここが一番落ち着けるかなって思って来たんだけど……」


啓は小さな溜息を漏らして……呆れたように言い放った。


正直かなり感じ悪い。


「し、失礼いたしました。早とちりをしてしまい。
普段、沖田様がお連れになる女性の方の中でもかなりお綺麗で……それに秋本様もお綺麗だと……」


ぺしっ。


啓が黒田さんを軽くツッコむみたいに叩いた


「黒田さん、余計なことあんまべらべらしゃべんないで迷惑だから」


ぴしゃりと言い放った啓。


うそでしょ……?


こんなこと言うなんて……啓はこんなこと言えるような人じゃなかったのに。