なんで……なんでコイツが…… もうやだよ。 「離してよ!!なんで居るのよ……?」 力任せに腕を振りながら精一杯言った一言だった。 「離すわけねーだろ、逃げられると困るし…だいたいあの男について行って何する気……」 「ほっといてよ……もう。あたしなんかどうだっていいでしょ?」 そこにいたのは啓。 幻覚なんかじゃない、まぎれもなく彼。 視界がにじむのを必死にこらえるあたしはまるで……。 まるで……。 ダメだ良いたとえ方が見つからない。