「あたしが言いたいのはひとつだけ……。これ以上莉華を......壊さないで……」
鼻声混じりの弱々しい声だったけど、しっかりとした思いが伝わって来た。
けれど……言葉の意味をくみ取ることは出来なかった……。
『これ以上莉華を......壊さないで……』
いく度となくこの言葉の部分だけ頭の中でリピートする。
どういう意味なのか分からない、けれどこの言葉の意味気になって仕方がない……。
「なんだよ、その壊さないでって……」
「何ってそのままの意味だよ。今の莉華はね、啓の知ってる莉華じゃない……。心が違うの、壊れちゃったんだよ……」
「精神科とか……そんな感じ?」
「なに言ってんの?莉華の傷はそんなとこで治るようなものじゃない……その傷が癒えることはない、永遠にね。だって今日真実を知ってしまったんだもの」
「意味はよくわかんねーけど……俺にどうしろって言うんだよ…」
「莉華に近づかないで欲しい………」
「分かってる………でもそれは無理……でしょ?
だってあなたはまだ莉華を想ってるから。
だけど莉華は諦めてもらうしかないのよ……だって啓結婚するんでしょ……」
なんて鋭い女なんだろう……。
俺の考えはすべてお見通しってワケだ………。

