優子の言葉を信じて、数学は丸つけだけで済みますように……と密かに願った。 通常は、家庭教師斡旋会社に登録して、そこから生徒を紹介してもらうことが多い。 でも、今回は個人の紹介だから、細やかな契約が必要となってくるのだ。 「どうぞ、召し上がって下さい」 話の区切りがついたところで、お母さんが紅茶とチョコブラウニーを用意して下さった。 「美味し〜い」 程よいチョコの甘さとしっとり感。 お皿やティーカップもシンプルだけど、質がよさそう。