「失礼しま〜す。先生、お疲れさまでした。どうでしたか?
うちの子、英語ができないから教えるの大変だったでしょう」
と、お母さんは可愛らしく笑った。
「いえ、そんなことないですよ。翼くん、頑張っていましたよ!
数学なんて、かなり能力が高いですね」
「そうですか?ありがとうございます。この子、数学だけなんですよね。英語も同じくらい頑張ってくれたら嬉しいんですけど」
「英語は先生が悪すぎなんだよ!あの教え方はマジ最悪!」
「こらっ!そんなこと言わないの!すみません。口が悪くて。
先生、これからもご指導よろしくお願いします」
「はい。こちらこそ、よろしくお願いします」
時計に目をやると、9時少し前だった。
初日ということもあり、お母さんも気を遣ってくれたのだろう。
お茶とお菓子を用意して下さり、早めに切り上げることができた。


