このまま、私が数学を得意としていないということを隠していても、時間の問題かもしれない。 早いうちに、本人に伝えておいた方がいいに違いない。 あとから、クレームでも来たら大変なことになるから。 「あのねぇ、言いにくいんだけど……私、昔から数学が苦手なの。 だから、翼くんに教えるのは無理かもしれない」 「知ってるよ、そんなこと。初めから。 別に、先生に期待なんかしてないし」 「――…へっ?」