翼くんのテキストは、赤丸で埋まっていた。 ほぼ、完璧だった。 「すごいねぇ!よくできてるよ。数学、得意だったんだね!」 「まあね」 はっきりいって、家庭教師なんて必要ないと思った。 ましてや、私のような完璧な文系人間に教わるようなタイプではない、と思った。 きちんとした数学の指導ができる人の方がいいに違いない。