年下の彼氏

気付いたら翼くんの胸の中にいた。



「寒かったろう。美咲ちゃん、風邪引かないようにね」って、優しく抱き締めてくれた。 


耳元で囁かれる声。


黒のダウンジャケットのファーの付いた部分が頬に当たって、くすぐったい。



いつもだったらこんなことしないのに……。



照れ屋の翼くんは、外では絶対にベタベタしないから。


しかも、こんな公衆の面前でなんてあり得ない――。


どうしたんだろう……?