正確には、

私にはピアノの声が
聴こえる。


初めて聴いたのは
いつだったんだろう。


気がつくと
話していた。


「今日は雨だからな…
ショパンの雨だれなんかどうかな??」

「「ふんっ、ありきたりの選曲ね。」」

霧の向こうから話しているような声で、生意気そうに言い切った。

「じ、じゃあ何??いい曲、あるの??」

「「…あたしの上の青い本、手にとってみなさい。」」

散らばった楽譜から
青い本を拾い上げる。

(…カスキ…?)