陽希があたしの腕を掴んでいた。


そしてあたしのことをじっと見据える。



「えっ、どうした....の??」





「......ぃくな」





「え....聞こえない...」


陽希が何か呟いたけど声が小さすぎてうまく聞こえなかった。



「....いや、なんでもない。」


そう言うと、パッと手を離した。

そして俯いて髪の毛をクシャっとした。



「ほら、担任待ってんだろ??」


「ぁ....うん。....じゃぁね」



なぜか、遠まわしに「早く行け」って言われてる気がして
この場を立ち去った。



あたしは階段を駆け下りる。




早くこの気持ち閉じ込めなきゃダメだよね....。




また溢れそうになる涙を乾かそうと


速く走って職員室に向かった。