ザァァァアア───


あたしは都倉家を飛び出して無我夢中で走った。

外はいつの間にか大雨になっていた。


でもあたしは、そんなことは気にせず走る。




ーズザァッ

「..ったぁ!!」



全力疾走で走っていたのでコンクリートの上で転ぶ。

膝からは、真っ赤な血が流れ出す。






『シイナ』さん...。彼女かぁ...。
あたしは...何だったんだろう。



彼女がいない間の身代わり??
ひまつぶし??



そうだよ...。

あんな完璧な王子様と呼ばれるような人に
こんな貞子って呼ばれるような子が

釣り合うわけないじゃない...。




あたし...

キスされて、「陽菜」って呼ばれて、
屋上で2人でお喋りして、抱きしめられて....



1人で....期待してた??


そうだ。



あたし....自分だけ特別とか思ってたのかも...。




「っ....ううぅっ~~~」

とめどなく涙が溢れだす。




あたし、やっと気付いたの??

なんで「あたしが陽希を好きなのはありえない」とか思ってたんだろ??


なんで、もっと早く気付かなかったんだろぅ??



もっと早く気付いてたら、彼女の存在を知っても






ここまで苦しくならなかったのに...