「だから心配するほど悪い結果じゃないって」
『本当か?』
「ああ。原因はわからないままだけど、進行は遅くなっているらしい」
『そうか。良かった……』
病院の一角、公衆電話が三つ集まっているうちの右端の公衆電話で少年が友人と話をしていた。
彼の声は奇跡のような声だった。
落ち着きがあり、なめらかで、柔らかく、心地の良い声。
「そんなことより、いいのか?授業中だろ」
『ばか。抜け出したに決まってんだろ』
「はあ?お前が馬鹿だろ。なにサボってんだよ」
『なにって、悠矢の診察結果が出るのが3時って聞いたからいてもたってもいられなくてだな』
「な……どうせ昼寝したいだけだろうが。俺に構ってないで寝てろ」
一瞬沈黙が流れる。
『残念でしたー。お前の声は電話越しじゃ……』
がしゃん、と大きな音が鳴った。
『なんだ?』
「まずい」
少年は薄い仕切り越しに隣を見る。
「女の子がいた……」
『馬鹿お前……!ちゃんと何とかしろよ!じゃあ、俺は寝るから』
「あ、太一!おい!」
少年は声を荒らげるが、受話器からはツーツーという無機質な音しか聞こえなかった。
「どうすればいいんだよ……」
座り込んだまますぅすぅと寝息を立てている少女を見て、少年はため息をついた。
『本当か?』
「ああ。原因はわからないままだけど、進行は遅くなっているらしい」
『そうか。良かった……』
病院の一角、公衆電話が三つ集まっているうちの右端の公衆電話で少年が友人と話をしていた。
彼の声は奇跡のような声だった。
落ち着きがあり、なめらかで、柔らかく、心地の良い声。
「そんなことより、いいのか?授業中だろ」
『ばか。抜け出したに決まってんだろ』
「はあ?お前が馬鹿だろ。なにサボってんだよ」
『なにって、悠矢の診察結果が出るのが3時って聞いたからいてもたってもいられなくてだな』
「な……どうせ昼寝したいだけだろうが。俺に構ってないで寝てろ」
一瞬沈黙が流れる。
『残念でしたー。お前の声は電話越しじゃ……』
がしゃん、と大きな音が鳴った。
『なんだ?』
「まずい」
少年は薄い仕切り越しに隣を見る。
「女の子がいた……」
『馬鹿お前……!ちゃんと何とかしろよ!じゃあ、俺は寝るから』
「あ、太一!おい!」
少年は声を荒らげるが、受話器からはツーツーという無機質な音しか聞こえなかった。
「どうすればいいんだよ……」
座り込んだまますぅすぅと寝息を立てている少女を見て、少年はため息をついた。


