「な、なんだよ。二人して何やってんだよ……」
「動かないで……ちょっと我慢して……」
詩音はそう言うと顕微鏡を滑らした。
悠矢がぞっとしたように身を震わせる。
緻密で細かい羽の模様。歪んだものは一つもない。
不吉な、黒い翼……。
「し、詩音?」
「なに?悠矢くん」
「もういいだろ、離れて……欲しいんだけど」
「どうして?」
「……息がくすぐったい」
「……あっ」
詩音は頬を赤く染めて悠矢から離れた。
そうだ、今まで詩音の目と鼻の先に悠矢の素肌があったんだ。
その事実を忘れていた。
野崎はそんな二人の様子をにやにやしながら見ていた。
ただ、瞳の色は暗く、考えにふけっているようにも見えた。
「動かないで……ちょっと我慢して……」
詩音はそう言うと顕微鏡を滑らした。
悠矢がぞっとしたように身を震わせる。
緻密で細かい羽の模様。歪んだものは一つもない。
不吉な、黒い翼……。
「し、詩音?」
「なに?悠矢くん」
「もういいだろ、離れて……欲しいんだけど」
「どうして?」
「……息がくすぐったい」
「……あっ」
詩音は頬を赤く染めて悠矢から離れた。
そうだ、今まで詩音の目と鼻の先に悠矢の素肌があったんだ。
その事実を忘れていた。
野崎はそんな二人の様子をにやにやしながら見ていた。
ただ、瞳の色は暗く、考えにふけっているようにも見えた。


