日曜日。
外出許可をもらって、施設を出る時だった。



美月の歪んだ顔つきに気付いて、
後ろを振り返ると、
男は立って居た。



『新しい男?』



男は俺を一切見ずに美月に問いかける。



『そうよ。なんか文句ある?』



凛とした態度で美月は答えた。



ただ、真っすぐ奴を見て。



俺は美月の手を掴んで、
『行こう』と言った。



背後から男の声が耳に入る。



『親父さんとお袋さん…残念だったな。後で知ったよ。今日、会いに行った。』



美月の足が止まり、男の方に振り返る。



『親戚の叔母ちゃんが、墓まで案内してくれた。』



俯く美月に、男は更に言葉を被せる。



『美月も…強がってないで、ちゃんと会いに行けよ。手合わせなくてもいいから、顔くらい見せてやれよ…。』