今日は楽しかった

と、砂時計を握りしめながら思った。



誘われた時は、別に遊んでくれなくてもいいし
男をわざわざ連れてくるなんてって…
そう思ってたけど、久しぶりに逢って私はわかったんだ



やっぱりまだ祐太朗君の事が好きなんだって



サラサラーっと砂は無情にも時を経ている

この時計を買ったのは、漫画を読んでからだっけ?
その漫画の中でスポットライトを浴びていた砂時計
私もそんな風になれたらなって…
ただそれだけでこの砂時計を手にした


だけど、結局何もできなくて…
砂時計はただ時を過ごすだけの道具になっている


「ねぇ砂時計さん…、同じように恋をしたらどうすればいいかな?」


私の質問を、砂時計が答えてくれるわけがない…


全てを流し終えた砂時計は自分の役割を果たしたと言っているように
ガラスの向こう側を映し出した


私はその先にあったモノを手に取った



「また同じように、何もできないままの恋をするのは…イヤだな」