一通り片付けた部屋をぐるりと見渡す。
綺麗に整頓された部屋に、小さく頷いた。よし、これならきっと幻滅されるようなこともないだろう。
時刻は、7時を過ぎていた。
卓球部に所属している隆志君なので、部活帰りということできっとお腹もすいているだろう。出来れば彼の胃袋も掴みたいところ。
夕飯はパスタでいいかなあ。
台所に立って、ミートソースを作り終えたのと同時に、ピンポンとドアベルの音が聞こえる。覗き穴から見れば、そこにはあずき色のニット帽を深く被り、分厚いフレームのメガネをかける隆志君がいた。
彼は、少しセンスが良くない(…けれど、そこが可愛いんだ)(といったら、また十夜に笑われるのだろう)
ドアを開ければ、冷たい空気に頬を赤く染めた隆志君が笑顔で部屋へと入ってくる。
「いらっしゃ…」

