ワンダフルエラー


「…別に、比べてるわけじゃないけど…。ただ慣れてるなァって思っただけ」


わたしは十夜の言葉の意図がわからず、戸惑いながらそう言った。十夜は納得しているのかそうでないのか、ふぅん、と相槌をうつ。


「なーんだ、俺、てっきりサラを他の男に取られたかと思った」


笑いながら言う。まったく。こういう台詞をさらりと言うから勘違いする女の子が増えてしまうんだよ。


「他の男って…、十夜だって、わたしの男じゃないでしょうが」


もう、いい加減帰って欲しい。

喉は痛いし、熱は下がらないし、何より心臓がドキドキして苦しい。

この調子じゃ明日も学校へ行けそうにない。


「もう帰りなよ」

「嫌だ」

「十夜と喋ってると寝られないんだよ」

「じゃあ、黙ってるから今日は泊まっていい?」


満面の笑みでそういう十夜に、わたしは呆れすぎて言葉が出なかった。