「それじゃあ、また明日な」 既に俺に背を向けていた英二は、口を開く代わりに小さく右手を上げた。 一歩踏み出した先にあるもの。失うことを恐れて、逃げるようにずっと見ない振りをしていたけど。 「――十夜!」 光の先で、俺の名前を呼ぶサラの姿を見つけ、自然と駆け出していた。 焦がれて止まないのだ。 日だまりのように暖かな、唯一無二の場所。 これまでも、これからも、それは微笑む君の隣にあるのだろう。 ―END―