サラは、ぎゅっとコブシを握り締めたあと、勢いよく俺の左頬を引っ叩いた。乾いた音と共に、鋭い痛みが走る。
「そんな勘違いで、こんなことしたってわけ?」
「…ごめん。ほんと、謝ってもすまないけど…」
「なんでよ、十夜は…、鬱陶しくなったんでしょ。わたしがわたし達の関係を崩したのがムカついたんじゃないの!?」
思わず、首を傾げる。どうして、そんな風に考えるのか不思議だった。
「それこそ、なんでだよ。どうしてサラのこと鬱陶しがらなきゃならねんだよ。わけわからない」
「……、いやだァああ!何が何だかわからないうちに、告白しちゃったってこと?!」
サラの顔が、真っ赤に染まる。
俺はそれをただただ見ていることしか出来なかった。今起きているこの現状が、信じられなくて。
「…てことは、なんでわたしこんなことされそうになったわけ?」
腑に落ちない、とサラは俺を睨む。
ただただこの事実を伝えるのが申し訳なくて、そっと頭を下げながら伝える。
「俺…もの凄い勘違いを…」
「…今日だって、ほんとはこんな遅くまで学校にいるつもりもなかったし。ただ、英二には相談に乗って貰ってただけ」

