呆けたように俺の顔を見つめるサラに気付いて、笑う。
しゃがみこむサラの視線に、視線を合わせる。
「キスしたくなった?」
にっこり笑いながら言えば、サラは信じられないという顔をして、大きく目を見開いた。
「してもいいけど、ほら」
さらに顔を近づければ、サラはそっと俺から視線を外す。
「そ、そんな風に言われたら希少価値なくなる。したいものもしたくなくなる」
強がっているのは、すぐにわかった。声が、震えてる。
俺は目を細めて、サラを見つめる。
「俺がシたいんだけど」
ぴくりとも動かないサラに、言った。
嘘じゃない。
これが、本音。
ただの安心出来る友達でいるのに、もう疲れた。
本当はあの日の夜だって、いっそのこと、熱でうなされているサラを抱いてしまおうとすら考えたくらい。
でも、そんなことをしたら、もうサラは俺と一緒にいてくれないだろ?
もう、一緒に笑ってくれないだろ?

