こんな自分を知らなかった。


自分の特徴を表すならば、良くも悪くも何かに執着することがないところだと思う。

だから、特定の趣味を聞かれても答えられないし、基本的にやれば大抵のことは上手くこなせられたから、適当にサッカーだとかバスケだとか、その時やっていたものを口にしていた。


恋愛にしたって、そうだ。

彼女がいれば大切にしたいとは思うけど、正直いなければいないで構わなかった。


とにかく。

あの夜以降、俺はただ悶々とした日々を過ごしていた。


視線は自然とサラを追うし、姿が見えなければ何をしているのか気になってしまう。

それだけなら、いいのに。


求めてしまう。

綺麗に笑うあの唇をキスして塞いでしまいたい。

細い身体を抱き締めて、無理にでも抱いてしまいたい。


駄目だ。

サラはそんなこと望んでいないのに。

自由奔放に生きるサラにそんな想いを押し付けたら、きっと離れていくに決まってる。


嫌なんだ、それだけは。

嫌なのに、止まらない。想いがつのって、もう、苦しくて死んでしまいそうだ。