夏が近づき暑さが気になってきたある日、もっと暑苦しいものは突然やってきた。



「響城ー来てやったぞー!!お前女に振られたらし…ってあれ?すげえ美人がいる……」



突然社長室に入ってきた男は、私を見て驚くと近づいてきた。



「なにこの人!?すっげえ美人じゃん誰!?」


「ああそいつ俺の婚約者。だから手だすなよ」


「えっお前婚約者いたんじゃ…」


「黙れ。あいつはもう終わった」



えっ婚約者?

そんなの聞いてない……

じゃあ私と婚約して
その人はどうしたの?



「なんだそれ。まあこっちの方が綺麗だしねー。名前何ていうの?」


「おい」


「いいじゃん名前ぐらい。ね、名前なんていうの?」


「花月妃和です。初めまして」


「花月って…あっあの綺麗って有名なお嬢様かー!!話には聞いたことあるけど本当に綺麗だね」


「ありがとうございます」


「あっ俺常磐奏希(トキワソウキ)です。よろしくね。あっアドと番号交換しない?」


「お前今すぐ妃和から離れろ」


「ふーん妃和ちゃんのことそんなに好きなんだー」



楽しそうに笑う奏希さんを響城さんは睨み付ける。



「お前何しに来たんだよ」


「えーお前が珍しく女に振られたって言うから慰めてあげようと思ったんだけどデマだったみたいだね」


「…まあな。そういえば最近奏女はどうだ?」


「あー先生が言うにはもう…無理らしい。あっお前も会いに来てやってくれよ」


「そうか……仕事そろそろ終わるから待ってろ。今日行く」


「ありがと。じゃあここで妃和ちゃんといちゃいちゃして待ってるよー」


「出ていけ」


「もー冗談だよ。ね?」



同意を求められて困った私は、曖昧に言葉を返した。