気まぐれ社長の犬


「ああできなかったよ。でもお前のそのちっせえ指輪に意味なんてねえんだよ」


「なっこれは2000万もする…」


「だからーそれがちっせえって言ってんだよ。値段じゃなくて、その指輪にこもった気持ちのこと言ってんだって。お前は妃和のどこが好きなの?」


「そんなの決まってるだろ!!全てだ。この美しさも気品も体も、全て愛してる」


「はぁー…だからだめなんだよ。お前が好きなのはこいつの入れ物だけか?お前が好きなのは妃和じゃなく妃和の見た目だけじゃねえか」


「なっ…だったらなんだ!!みんなそうだろ!?お前だって妃和を欲しがるのは美しいからだ!!」



それを聞いた瞬間、俺は咲本をおもいっきりぶん殴った。



「ちょっ響城さん!?」



妃和は驚いてソファーから立ち上がる。



「何をする…!!
これは大問題だぞ!!」



床に倒れた咲本は体を起こし俺を睨み付ける。



「あ"?てめえがふざけたこと言うからだろーが」


「ふざけたことだと?」


「お前は妃和の見た目にしか価値がないと思ってんだろ?そんなお前にこいつを抱く資格も愛してるとほざく権利もねえ」



俺は妃和の指にはめられた指輪を抜き、咲本に投げ捨てた。



「行くぞ」


「えっあっあの…!!」


「待て…許さないからな!!」



俺は戸惑う妃和を引っ張って部屋から出た。