書類に目を通したり仕事をしていると、コンコンと音がして扉が開いた。
「失礼します」
入ってきたのは新しく副社長になった高槻(タカツキ)だった。
こいつは仕事もできるし、完璧な男だ。
だから仕事はほとんどこいつがやってくれるから社長の俺は前より仕事が減ったし楽なんだよなー。
「高槻どうした?」
「この書類のチェックお願いします」
「わかった。置いといてくれ」
「はい。それでは失礼します」
高槻は礼儀正しく部屋から出ていく。
それから俺は全ての仕事を終らせ、時計を見るとまだ4時だった。
あ"ーつまんねえ。
そろそろ帰るか。
俺は荷物をまとめ、社長室を出た。
家に帰ると父さんと母さんがソファーで座っていた。
「あれ、親父何で家にいんだよ。仕事は?」
「会長って暇なんだよーだから帰ってきた」
「ふーん。俺も暇だったから帰ってきた」
「そうなのー平日のこんな時間から家族がそろえるなんて嬉しいわ」
いや、たいして働かない夫と息子ってどうなんだよ。
「俺部屋行くから」
「せっかくだから一緒にテレビでも見ようよ」
「せっかくって親父暇でほとんど家にいるだろうが」
「まあな」
「あなた、あの子妃和ちゃんが出て行っちゃって落ち込んでるのよ」
「そうなのか。響城、さみしいなら妃和ちゃん呼び戻してもいいんだぞ」
「寂しくねーよ!!あんなやつ出て行ってくれた方が平和でいいっつうの」
俺は冷蔵庫からサイダーを取り出して階段を上って行った。
「本当…素直じゃないんだから」
「まあいつか気づくさ」
「そうね。面白いし放っておきましょうか」

