気まぐれ社長の犬


次の日会社に行って社長室に入ろうとした時、ちょうど相模と会った。



「あっ社長おはようございます」

「おはよう」


「あれ、花月さんは今日はいらっしゃらないんですか?」


「ああ…あいつは辞めたんだ」


「えぇ!?でも社長の婚約者なんですよね?どうして辞めてしまったんですか?」


「あっ婚約も解消したから」


「えぇ!?そんな…じゃあ花月さんにはもう会えないんですね……」



相模はちょっと残念そうにつぶやいた。



「残念か?」


「なっそんなわけないじゃないですか!!嫌みを言ってくる人がいなくなって嬉しいです」


「ふーん。あっそ」


「そうです!!それより、花月さんと婚約を解消したなら私と付き合ってくれませんか?」



相模は俺の腕に手をまわして胸に当て、上目遣いでそう言う。


胸は妃和の方がでかいな。
それに顔も声も妃和の方が…って俺何考えてんだ!!



「社長?」


「え?あっごめん今はそういうのいいかな」



俺は腕を払い社長室に入った。


はー…俺最近あいつのことばっかり考えてる。

俺が婚約解消したくせにばかみてえ。


俺は初めて座る社長室の椅子にもたれながら、大きなため息を吐いた。