パーティーも後半になり、みんな上機嫌で話している。
でも響城さんは招待客の対応に忙しくてあまり飲んでないみたいだった。
「こんばんは、風間さん」
聞き覚えのある声にぱっと顔を上げると、そこには久しぶりに見る父親がいた。
しかもその隣には弟までいる。
「あっ花月さん」
「お父さん、臣哉……」
「うちの娘がお世話になってます」
「いえいえこちらこそ」
「うちの娘はちゃんと役に立っていますか?」
「…ええもちろん」
響城さんの声が少し、低くなった気がした。
「それならよかった。これからも妃和とうちの会社をよろしくお願いしますよ」
お父さんはそう言ってまた違う人のところへ離れて行った。
だけど臣哉は私を見つめたまま動かない。
「…久しぶり姉さん」
「久しぶり、臣哉」
「スーツも似合ってるね。また今度家にも帰って来てよ。色々話したいこととかあるし」
そう言って笑った臣哉に、背筋がゾクッとした。
そうだ…家に帰ればまた…また…
「じゃあね、姉さん」
臣哉はそう言ってお父さんのところへ戻って行った。
怖い……家に帰れば私はまた臣哉に汚される。
もう慣れたはずだった。感覚が麻痺してたはずだったのに…
「おい、どうした?」
下を向いて手を握りしめていた私に、響城さんは心配そうに顔を近づけた。
「大…丈夫です。なんでもありません」
私は軽く俯いたまま、笑顔を作った。
「…そうか」
そう言って響城さんはまたどこかの会社の社長と話しだした。

