ふと招待客に目を向けると、咲本さんが目に入った。
咲本さんはケータイをいじっていて、少し経つとそれを閉じた。
そして私と目が合うと妖しい笑みを見せる。
怖い…こいつは何をしたの?
ケータイで……まさか!!
私は窓を振り返った。
よく見ると遠くからライフル銃を構えてる男がいる。
きっと響城さんを狙ってるんだ。
私は窓の真ん中に立ち、その男を睨み付ける。
男は目が合ったことに驚いて銃を顔から離した。
まあ当たり前だ。
普通この距離であの男を見つけるなんてあり得ない。
しかも目まで合うなんて、初めてだろう。
でも私をなめないで?
このぐらいの距離普通に見えるわ
ずっと見ていると男は気味が悪くなったのか狙撃を諦め逃げて行った。
フッ弱いわね。
私は咲本さんを見た。
あの男から失敗のメールが来たのか、驚いたような悔しそうな顔で私を見る。
その時ちょうど響城さんとお父様の話しが終わり、拍手が会場に響いた。
咲本さんはそのまま会場から出ていく。
追いかけようかとも思ったけど響城さんが来たからとどまった。
「お疲れ様です」
「ああ。さっき窓の方見てたけどどうした?」
「いえ…空が綺麗でしたので」
「は?お前空なんか見るんだ」
「ええ時々」
本当は空なんか嫌い。
広くて美しくて……自分が小さく汚れてることを思い知らされる。
「それよりも、早く皆さんのところに行きましょう。お待ちですよ?」
「ああ。今日は疲れそうだな」
響城さんは嫌そうにため息を吐く
私も少し気を重くしながら響城さんの後ろを歩いた。

