「響城さんさっきの人誰ですか?」
「ああ、梅原さんだよ。貿易会社の社長だ」
「へーあの人嘘吐いてますよ。響城さんが就任するのを良く思ってないし、立派なんて欠片も思ってないんじゃないですか?」
「はあ!?なんでだよ。梅原さんとうちの会社は仲良くやってるはずだ」
「仲良くやってるふり…だったりして。まあ仲良いふりしていつか潰すつもりだったんでしょう。北条組に襲わせてるのもきっとあの人ですよ」
「何でだよ?あの人にはそこまでする理由ねーだろ。それにどうしてそう思う?」
「さっき話してた時、あの人笑顔が不自然でした。知ってました?人は嘘を吐くと色んなサインを出すんですよ。例えば口の端を少し上げたり上を見たり」
あの人の場合は話した後、口の端をあげた。
まあ一瞬だったから響城さんは気づかなかっただろうけど。
「それに作り笑顔だったから真顔に戻る時不自然だったし、話してる時もにやついてましたから」
「…すげえなお前」
「見慣れてますから」
「でもだからってなんで北条組を雇ったのが梅原さんだと思う?」
「あの人バカですよ。周りは響城さんが北条組に襲われてるって知らないのにあの人言っちゃいましたからね」
「あっそういえば……」
「はぁ…響城さんは単細胞ですからねーもう少し人を疑った方がいいですよ」
「うっせーな。人間はみんな多細胞生物だろーが」
「へー知ってたんですか。じゃあ響城さんは菌類と同じってことになってしまいますね」
「てめ…仮にも婚約者に菌類ってなんだよ」
「そんなことより、梅原さん…どうするつもりなんですか?」
「ぶっ潰すに決まってんだろ」
顔色も変えずにそんなことを言う響城さんは、さすが風間グループ次期社長だと思った。

