秘書って言っても相模さんがいるわけだしすることないよねー。
黙々と書類に目を通していく響城さんをじっと見つめていると、気づいたのか軽く睨まれた。
「なんだよ」
「別に。ただ暇だなーと思いまして」
「じゃあコーヒーでもいれてきてくれ。朝急いでて飲まなかったから」
「コーヒーってどうやって作るんですか?」
「は!?コーヒーも入れられねーのかよ!!じゃあ相模に言ってきて」
「わかりました」
あたしは部屋を出ると秘書室の扉を開けた。
こっちを見た相模さんはすごく驚いた顔を見せる。
「すみませんコーヒーいれてもらってもいいですか?私いれ方知らなくて……」
「わかりました」
そう言って相模さんはコーヒーを作りだした。
「でも花月家のお嬢様はコーヒーもいれられないんですね」
相模さんはばかにしたように、視線はコーヒーに向けたままそう言った。
「知ってたんですか」
机に置いてあるパソコンに目を向けると、あたしの父の会社が映し出されていた。
調べた…か。
「それぐらい知ってます。ほらできましたよ」
「ありがとうございます。あっあたし持って行きますよ」
「いえ。お嬢様にこんな物持たせられませんよ」
はあ?ただ響城さんに近づきたいだけでしょーが!!
しかも嫌味っぽい。
まあこんなのなんとも思わないけどね。

