「まいたようですね。このまま会社に向かいます」


「ああ頼んだ」



響城さんはあたしを抱く腕を離した



「大丈夫だったか?」


「はい…でも毎日こんな感じなんですか?」


「毎日じゃないけど最近は多い。あっ嫌なら辞めてもいいから」


「お気づかいなく!!」


「あっそ。つーかお前なんで会社まで来てんだよ」


「あれ、聞いてませんでした?あたし今日から響城さんの秘書をすることになったんです」


「は!?聞いてねーよ!!秘書とか必要ないだろ」


「まあ表向きだけですよ。その方が守りやすいでしょう?」


「でもお前とずっと一緒って精神的に無理」


「へーそんなに心が弱かったなんて風間グループ次期社長が情けないですね」


「あ"?てめえ誰に言ってんだ?」


「あなたしかいないでしょう。頭の動きが悪いのは知ってますけどもう少し頑張ってください」


「てめえ…車から突き落とすぞ」


「到着いたしました」



タイミングのいいことに麻生さんはそう言って車を止めた。

車が止まると麻生さんは扉を開けてくれる。



「残念ですね響城さん。突き落とすならまた今度で」


「本当可愛くねえ女」


「別にあたしは可愛さなんて求めていません。だって綺麗ですから」



あたしはそう言ってにっこりと笑った。



「お前性格最悪だな……」



顔を引きつらせながら会社に入っていく響城さんの少し後ろを歩きながら、あたしは周りに意識を集中させていた。


仕事はちゃんとしなきゃね。

でも今のところ怪しいやつはいないかなー。


あたしはそのまま響城さんと一緒に副社長室に向かった。