中ではちょうど紅が響城さんに木刀を振りかざしている所だった。
あーもうやっぱり…!
「止めなさい紅!!」
私は落ちていたもう1本の木刀を拾って紅に投げた。
紅は瞬時に振り向きそれを打ち払う。
「あっ誰かと思ったら妃和じゃない。いきなり何するのよー」
「何するのよはこっちのセリフ!響城さんに何するのよ!」
「だってこいつのせいで妃和は危ない目にあってる訳でしょ?しかも婚約者なんてさー許せなくて」
綺麗な顔を歪ませてむくれる紅。
いやいや、だからっていきなり木刀で殴りかかるのはおかしいでしょうが。
平然と何言ってるんだか。
「妃和、こいつ誰だ?」
驚いたままの響城さんがスーツを正しながら紅の方を見る。
「ああ、この子は私の親友の吉野紅です。いきなりすみませんでした」
「どうも初めまして。吉野紅です。さっきはいきなりごめんなさいね?でも、あなたが十分強いってわかってよかったわ」
「は?どういうことだ?」
「妃和が婚約者のボディガードやってるって聞いて、どんなひょろひょろのカスかと思って来たら意外としっかりした体つきしてるし、木刀振り下ろした時もあのままだったらきっとあなた殴って折ってたでしょ」
「よく分かったな」
響城さんらしすぎる対処に笑いがこみ上げる。
さすがケンカバカ…いや、真っ直ぐと言うべきか…

