「きゃっ!?どうしたんですか!?」


「申し訳ございません後ろから何者かに発砲されたようです。少し揺れると思うので気をつけてください」



麻生さんは厳しい声でそう言うとスピードを更に上げた。


ここ普通の道路だよ!?
こんな映画みたいなこと、リアルにあっていいの!?


驚くあたしに対して、響城さんは落ち着いた様子でパンを食べていた。



「また北条組のやつらか?」


「ええ恐らく」


「懲りねぇやつらだな」


「北条組ってヤクザじゃないですか!!何でそんな人に狙われてるんですか?」


「ああ、俺が社長就任したら嫌な会社があるんだろ。そいつらに雇われたらしい」


「そんな…きゃ!!」



こんなの慣れてないあたしはカーブの時にバランスを崩して響城さんにぶつかった。



「いって……」


「あっすみません!!」



すぐに離れようとしたけど、響城さんに押さえられた。



「掴まってろ。何回もぶつかってこられたら困るからな」


「あ、ありがとうございます」



響城さんに片手で抱きしめられている形に心臓が早くなるのを感じつつも、響さんのスーツをギュッと掴んだ。



「チッしつけーな」


「そうですね…響城様、どこかに掴まってていただけますか?」


「ああ」



響城さんはそう言ってあたしを抱きしめる腕に少し力をいれた。


今から何をするの…?


そう思った時、
車は急に曲がった。



「きゃあ!!」



麻生さんは他の車をぎりぎりでかわしながら細い道に入っていく。


後ろの車もそれについてこようとするけど4つの道路を横断するのは難しいらしく、他の車に当たっていた。