それから数日後、響城さんと病室で話していると扉が開いた。
「一條…」
扉の前に立つ一條はまだ傷が治ってないようで体中包帯だらけだった。
だけどその手には花束が握られている。
「あら?お見舞い?」
「聞きたいことがあっただけだ。これは…仕方なく、だ」
響城さんに花束を渡し、私の隣に立つ。
「お前…どうして麗美様を庇った?」
「ああ…そのことね。あんたもあの時守ろうとしてたの、見えてたよ?」
「だけど俺はあの時…きっと守れなかった。あんたがかばってくれなきゃな」
私は体を起こし切なそうに呟く一條の頭を撫でた。
「な、なにすんだよ!」
「気にしないの。あんたは十分麗美さんを守った。そんなにぼろぼろになっちゃって…頑張ったね」
その言葉に一條は私の手を払った。
「違う…誘拐されたのは俺のせいなんだ。だから…」
「あーもう暗い!鬱陶しいなー助かったんだからもういいじゃない!それにかばったのも私が自分の都合でやったこと」
そう…あれは私の都合。
麗美さんの為なんてわけがない。
「私が麗美さんを助けたのは…死んだら一生響城さんの中に残ると思ったから。これ程邪魔な存在はない。だから私が死なない程度の場所を撃たれた。まあ、血の量的にさすがにちょっと死ぬかと思ったけどね」
そう…祖父が昔言っていたんだ。

